田中家と莫山先生とは、先生が40代の頃からご縁をいただき、何度かお仕事もさせていただいておりました。
お仕事の中には、3〜4㎝の河原の石に「土」や「女」の一文字彫刻をするなど、中々大変なケースもありました。
また奈良の二上山の山頂に詩碑を建立したり、「花アルトキハ花ニ酔ヒ・・」の詩碑等、気の張る仕事もありましたが、どれを取っても楽しく思い出深いものでした。
先生は書家というより、詩や絵、もとより著作も多く、いわゆる中国の文人に近いほうかも知れません。
20代の終わり頃には、もう書家として昇りつめられ、審査員にもなられましたが、その世界からも出て、ひとりの道を選ばれました。
先生のご自宅に「人皆直行我独横行」と書かれた蟹の代々伝わる襖絵があります。